リレーコラム

加藤潔の提言シリーズ第4弾「国民皆療育制度を実現できるか」

 おがるの加藤潔です。なんだかんだとこれで六回目の登場となります。出過ぎです。
 今回も(勝手に命名)加藤潔の提言シリーズ第4弾「国民皆療育制度を実現できるか」をテーマに、厚生労働大臣や文部科学大臣の目にとまることを期待して書いております。過去に目にとまったことは一度もないようですが、そんなことを気にしていたら書けません。そうそう、復習しておきましょう。提言シリーズ第1弾は「発達障がいで町おこししてみませんか?」、第2弾は「少子化対策は発達障がいをも救う」、そして、第3弾は「最低賃金の減額特例を就労支援の起爆剤にする」でございました。バックナンバーは、【一覧を見る】をクリックすると読めますよ。   
 あっ、ボク打たれ弱いので批判はお寄せにならなくてけっこうです。賞賛に飢えているもので、お寄せいただくならばほめ言葉を。
 
 
 
適切な療育はすべての人間にとってマイナスにはならない
 
 みなさんは療育をどう定義されていますか。小学館のデジタル大辞泉によれば「障害をもつ子供が社会的に自立することを目的として行われる医療と保育」とあります。一般的には、障がいというエリアの中に存在する言葉のようです。ところで、非売品で加藤辞書というのがありましてね。その辞書にはこう書いています。
 
 療育とは、自分にとって力を発揮しやすい環境が何かを知ること。一般的に、療育という言葉を使うときには、小さなお子さんを対象にすることが多いが、小さなお子さんであれば当然のことながら、自分で自分にとってのベストな環境を考えることは難しいわけで、だからこそ、自分の力を発揮しやすい環境をつくってあげることが療育の大きな役割になる。その環境をその方が生活するさまざまな場に広げることで、生活全体が豊かになっていく。つまり、療育においては、環境と般化という視点がキーワードになる。
 ちなみに教育という言葉は、その人個人のできることを伸ばし増やす営みであり、個の成長という視点がキーワードになる。
 
 加藤辞書には、療育に関するいくつかの格言も載っているので、紹介しておきましょう。
 
本人+周囲の環境=できる の公式
できるための条件は本人だけではない。周囲の環境を整えなければならない。
 
療育における努力点は、
本人だけががんばるものではなく、
関係者が何を努力するのかという視点をもつことである。
 
療育はのれん分けをめざすものである。
療育は生活場面ではない。人は、生活の中で生きている。
だから、療育の成果を生活の中につなげてこそ療育。
 
 つまり、加藤辞書によれば、療育という言葉は障がいというエリアを飛び越えたところにあるもので、すべての人間に通ずるものなのです。であるならば、療育という発想を子育てというフィールドに当たり前のものとして持ち込むことによって(そうお考えの方々はとても多いと思っています)、すべてのお子さんやそのご家族に寄与できるのではないかと考えるのであります。だって、どのように情報を整えて、どのようにかかわっていけばいいのかを小さい頃から周囲が知っていれば、そりゃ伸びしろは大きくなることが期待できますよね。それを自分で獲得できるお子さんも当然いるわけですが、最初から知っていて損はひとつもない。むしろ、「障がいだから療育するのではなく、人間だから療育する」という仕組みがすべての人に整ったら、日本は間違いなくまた進化します。
 

 検診は選別ではなく、全国民必須の療育へつながるためのものとなる
 
 どうも世間では、検診という言葉の中に、障がいかどうかを選別するためのものというイメージが付加されているような気がしています。検診によって、そのお子さんやご家庭へのサポートプランを大まかに立て、療育を担当する機関がそれを発展させるという流れがすべてのケースに当たり前に存在しなくてはなりません。だからこそ、あえて療育を全国民必須のものとしたいのです。そうすれば選別されるという意識は減ります。療育的なかかわりをできるだけ早く準備してあげたら伸びていくはずのお子さんたちには、そのチャンスを逃してほしくない。だけど、療育って特別なことのように思えてしまうだろうし、世間の目だって気になるだろうし。ボクはそこを払拭したいんですよ。そのお子さんにあった早期療育や学齢前療育の機関につながるだけのことなのだから。表現がよくないかもしれないけれど、現在の仕組みでは療育の必要がうすいと判断されるお子さんであっても、幼稚園や保育園ではなく児童発達支援センターのような機関でずっとすごして大きく伸びた、なんていう事例がたくさん出てくるといいと思っているんです。もちろん幼稚園や保育園の方々がとても努力されているのは知っています。ありがたいことです。ボクが言いたいのは、検診から療育へ至る道筋は特別でも何でもなく、当たり前だから大丈夫なんだよという仕組みを作れないかということです。
 
 
 国民皆療育制度を実現でさせるための秘策!?
 
 では、どうしたらいいでしょう。1歳半検診のあとすべてのお子さんが必ずどこかの療育機関(幼稚園や保育園ももちろん含めて)に所属するという、準義務教育に関する法律を制定することができたらいいのですが、そのためには、この国民皆療育制度が障がいに関係なく有効な仕組みであることの証明をしなくてはなりません。モデルとなる都道府県もしくは市町村をひとつ決めましょう。住民皆療育制度が導入されたその自治体で、そのお子さんやご家族がどう育ちどう支えられたかを検証します。検証自体は長くかかりますが、必ず成果が出ると思うのですがねえ。間違いなく、乳幼児期からの支援体制はがっちり整いますし、その自治体は人材の宝庫になると思いますよ。いかがでしょう? 
 
 
 
文責 札幌市自閉症・発達障がい支援センターおがる  加藤 潔
 

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